明治から続く、小さなお寺の大きな物語

長光寺の歴史は、明治の時代にさかのぼります。時代とともに歩んできた信仰の道のりをお届けします。
【明治の始まり —信仰の灯火—】
明治23年(1890年)、今から130年以上前。日本がまだ近代化の途上にあった頃、丸子町腰越の地に「放光山円教堂」(お山の祖師堂)が開かれました。当時はわずか24名の信徒さんたちと共に、御題目信心の灯火を守っていました。
その後、明治43年(1910年)に現在の地に「長光教会」を設立。
蓮光寺26世真珠院日斌上人、真義院日温法尼と真宣院日徳法尼という女性のお坊さん(尼僧)たちの熱心な布教活動によって、教会は大きく発展。腰越から依田窪一帯に1,000名を超える信徒さんが集まるようになりました。
【先代住職の物語 —父の恩返し—】

その後、跡継ぎのいなかった長光教会の尼僧の元に父親の当病平癒祈願をしてもらった恩を返すために、先代真妙院日規上人が在家として跡継ぎりました。戦後間もない昭和21年、日規上人が寺号公称して明玉山長光寺を設立、初代住職となります。
私の祖父である日規上人は雪深い信州の山道を、片道10キロも歩いて布教活動を行いました。
冬の寒さの中、お題目を唱えながら歩き続けた姿を想像すると、その信念の強さに胸が熱くなります。
さらに御祈祷と霊断によって信徒の皆さんの信仰を深め、現在の長光寺の礎を築いたのです。
【そして現在へ —小さなお寺の大きな願い—】

平成8年(1996年)、厳かな法灯継承の儀式が行われました。
その日、父・昭英上人が第二世住職として長光寺の歴史の新たな一章を開きました。多くの檀信徒の方々に見守られながら、お釈迦様から脈々と続く教えの灯火が、また一つ次の世代へと受け継がれたのです。
そして今、その父から受け継いだ願いとともに、私(いちよう)が長光寺を守る役目を担っています。
先代より受け継いだ「御祈祷」と「霊断」の二大宝刀とともに、ご縁をいただいたみなさまの悩みや苦しみに寄り添えるよう、日々の修行に励んでいます。
長光寺は田舎の小さなお寺。
大きな伽藍や立派な仏具はありませんが、代々受け継がれてきた「人の心に寄り添う」という想いだけは、どこにも負けない宝物です。四季折々の自然に囲まれたこの場所で、皆様の人生の節目に、喜びも悲しみも共に歩む「心の拠り所」でありたいと願っています。
そしてこのブログを通じて、仏教の教えを現代の言葉でお伝えしながら、皆さんとの新たなご縁を結んでいけたらと思っています。
南無妙法蓮華経。
お寺の基本情報
- 寺院名: 日蓮宗 明玉山 長光寺
- 代表役員: 小島昭英
- 住所: 〒386-0403 長野県上田市腰越1530
- 電話: 0268-42−2975
用語解説
- 御祈祷(ごきとう): 厳しい修行を経た日蓮宗僧侶が行う祈願。
- 霊断(れいだん): 日蓮宗の秘法で、悩みを抱えた時、進路に迷った時に用います。
- 法灯継承(ほうとうけいしょう): お寺の教えを次の世代へと受け継ぐ重要な儀式です