
こんにちは、いちようです
長年大切にしてきた雛人形や五月人形。
お子さんの成長や結婚を機に、その役目を終えると、「どうすればいいのだろう」と悩む方は多いのではないでしょうか。
「物置にしまっておくだけでいいのか」
「捨てるのは申し訳ない」
——そんな気持ちの揺れを感じている方もいらっしゃるでしょう。
実は雛人形は、女の子の厄を身代わりとして引き受け、健やかな成長を見守ってくれる存在なのです。
同様に、五月人形も男の子の無事と健康を願い、災いから守る役割を持っています。
武者人形や鎧兜は勇気や強さの象徴として、男の子が健康に育ち、逞しく成長することを祈願する意味があるのです。
お子さまが病気やケガをせずに過ごせたのは、これらの人形の見守りのおかげかもしれません。
そのような大切な役割を果たしてきた人形を、単に「不要だから」と捨てることに抵抗を感じる方が多いのは当然です。
ひな祭りが終わるこの時期は、役目を終えた雛人形のお焚き上げの申し込みが増える季節でもあります。


40年の思い出を胸に—心温まるお別れの物語
つい先日、70代のおばあちゃんが長光寺を訪れました。
その手には、色褪せながらも丁寧に包まれた雛人形がありました。
その人形は40年以上前、おばあちゃんが幼い娘さんの初節句のために心を込めて選んだものでした。
毎年、娘さんはひな祭りが近づくと目を輝かせ、「早くお雛様を飾ろうよ」と嬉しそうに声をかけました。
その度におばあちゃんは笑顔で一緒に飾り付けをし、温かな時間を過ごしてきました。
しかし、娘さんが成長するにつれ、少しずつ家族での時間は減り、やがて娘さんは結婚して遠方へと嫁いでいきました。
ある日、久しぶりに帰省した娘さんが幼いお孫さんと押し入れを片付けていると、ふとその懐かしい雛人形が目に入りました。
「お母さん、まだお雛様をとっておいてくれたんだね…」
娘さんの目には涙が浮かびました。それを見ていたお孫さんが無邪気に尋ねます。
「ママ、このお雛様、ママが子どもの時からいたの?」
「そうよ、おばあちゃんが私のために用意してくれて、毎年飾ってくれたの。とてもとても大切な思い出よ。」
それを聞いたおばあちゃんは胸が熱くなり、娘さんとお孫さんのやり取りを優しい眼差しで見つめていました。
「長い間、本当にありがとうね…。お雛様のおかげで、娘や孫にも大切な思い出を残すことができました。もう十分に役目を果たしてくれたね。ありがとう…」
おばあちゃんは、感謝の気持ちを込めて一体ずつ丁寧に雛人形を包み直し、長光寺へ供養をお願いに来たのでした。
お焚き上げの日。炎のゆらめきをじっと見つめながら、おばあちゃんは静かに手を合わせました。
「お雛様、あなたのおかげで私たち家族はずっと幸せでしたよ。どうぞ安らかに…。」
その言葉は、優しい春風に乗って空へと静かに昇っていきました。
人形との別れは、私たち自身の心の整理にもつながります。
この記事では、「物との健全な関係性」を踏まえながら、現代に合った雛人形・五月人形との向き合い方と心の整理法をご紹介します。
現代社会における人形供養の意味
近年、核家族化や住宅事情、価値観の多様化により、伝統的な行事との向き合い方も変化しています。
雛人形や五月人形の供養についても、新たな視点で捉え直す時期かもしれません。
なぜ供養が必要なのか
雛人形や五月人形にはお守りのような役割があり、「子どもの厄を引き受けてくれる」という意味合いを持っています。そのため、処分するときもただ捨てるのではなく、「お世話になりました」という気持ちを込めて供養を行うのが理想的です。
これは日本古来の「使い終わった物にも魂が宿る」という考え方にも通じます。
姉妹や兄弟がいる場合、「下の子に引き継いでもいいのか」と迷う方もいるでしょう。
雛人形や五月人形に「お下がりは絶対NG」といった厳密な決まりはありませんが、本来は「その子の厄を引き受ける」ためのものなので、一人ひとつ用意するのが望ましいという考え方もあります。
人形の意味合いを大切にするなら、上の子の人形はその役目を終えた段階で供養し、新たに下の子の人形を用意してあげることを私もおすすめさせていただきます。
物との関係を見つめ直す機会として
現代は「ミニマリズム」や「断捨離」といった考え方が広まり、物の整理が注目されています。
しかし、雛人形や五月人形は単なる「物」ではなく、家族の歴史や願いが込められた存在です。



いちよう、人々はどうして人形を手放すのをためらうのかな?



それは人形が単なる飾りではなく、家族の思い出や願いが込められているからだと思います。特に代々受け継がれてきた雛人形には、先祖の想いも宿っています



そうなの。人形にはね、飾った人の気持ちが染み込んでいくんだよ。だからただ捨ててしまうことをためらうんだね



はい。日蓮宗の教えでも、すべてのものに命があるとされています。長年大切にされた人形には、より一層強い魂や念が宿るのかもしれません



そうそう!だからお焚き上げは大切なんだよ。感謝の気持ちを込めて送り出す、そうすれば人形も喜んで旅立てるんだよ



お焚き上げは、人形との別れを通して、私たち自身の心も整理する大切な儀式なんですね
供養は、そうした特別な品との関係を見つめ直し、次のステップへ進む大切な儀式です。
日蓮宗の教えと人形供養
日蓮宗には「すべてのものに命が宿り、ほとけさまの心が備わっている(草木国土悉皆成仏)」という考え方があります。
人形との別れを通して、物との向き合い方を学ぶ機会にもなるでしょう。
デジタル時代の新しい思い出の残し方


現代はデジタル技術の発展により、思い出を形に残す方法も多様化しています。
- デジタルフォトブック(毎年の節句の写真をまとめる)
- 動画記録(お子さんと人形の成長記録)
- 3Dスキャンによるデジタル保存
- SNSで思い出を共有
物理的なスペースを取らずに思い出を残せるため、遠方の家族とも共有しやすい方法です。
人形供養を通じた家族の対話と成長
人形供養は、単に物を手放す行為ではなく、家族間の対話や子どもの成長を促す機会にもなります。


世代をつなぐ対話のきっかけに
人形の供養を考える際、家族で話し合うことが重要です。
普段話さない家族の歴史や価値観について語り合うきっかけになります。
例えば:
- 祖父母から親への人形の受け継ぎの話
- 親世代の節句の思い出
- 家族にとっての伝統の意味
こうした対話は、家族の絆を深め、世代を超えた理解を促します。
子どもの感情教育としての意義
お子さんが十分に成長している場合、供養の過程に参加することも大切です。
「大切なものとの別れ」「感謝の気持ちの表し方」「物への執着と感情の整理」など、人生で繰り返し向き合うテーマについて考える機会となります。
長光寺のお焚き上げ供養 — 心に寄り添う特別なサービス


長野県上田市の長光寺では、皆様の心に寄り添った特別なお焚き上げ供養を行っています。



いちよう、長光寺のお焚き上げには何か特別なところがあるの?他のお寺とどう違うの?



長光寺では単に形式的にお焚き上げするのではなく、一つひとつの人形に込められた思いを大切にしています。また、毎月開催していて、いつでも供養できる点も特徴です



そうなんだ!それって嬉しいね。人形たちも待たなくていいもんね



それに、遠方の方からの郵送にも対応していますので、全国どこからでも大切な人形を送っていただけます。希望される方には個別供養のオプションもご用意しています。人形との最後の時間を大切にしていただけるよう、心を込めた供養を行っています



人形だけじゃなくて、その人形をくれた人のことも忘れちゃいけないね



はい。人形を贈ってくださった方やご先祖様への感謝の気持ちも込めた供養も行っています。すべての御縁に感謝する心を大切にしています
長光寺の特徴的な供養サービス
- 毎月開催 — 一年に数回ではなく、毎月月末にお焚き上げを実施しています!
- 郵送対応 — 遠方の方も安心して供養を依頼いただけます!
- 個別供養オプション — 施主様が参加できる「個別供養」にも対応しています!
- 贈り主・ご先祖様への供養 — 人形だけでなく、それを贈ってくれた方への感謝も込めた供養も行います!
遠方にお住まいの方も、心を込めた供養を行うことができます。
みなさまの大切なお人形の最後の立会い、長光寺におまかせください。
お焚きあげのご依頼はこちらから→長光寺公式サイト「お焚きあげ」
また以前の記事でも詳しくお焚きあげについて取り上げていますので合わせてどうぞ。


まとめ—感謝の心で送り出す新たな始まり


雛人形や五月人形のお焚き上げ供養は、単なる処分ではなく、感謝の気持ちを表す大切な儀式です。
価値観が多様化する現代においても、「感謝の心」「物を大切にする姿勢」「区切りをつける儀式」の重要性は変わりません。長光寺では、こうした想いを大切にしながら、毎月お焚き上げ供養を実施しています。
遠方の方も郵送でお申し込み可能です。また、個別供養をご希望の場合は、施主様も参加できます。
人形を贈ってくれた方やご先祖様への供養も行えますので、ぜひご相談ください。
雛人形や五月人形に感謝し、新しい季節を迎えるための大切な一歩を、長光寺とともに踏み出しませんか。