鬼子母神にザクロをお供えする理由とは?

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こんにちはイチヨウです。

10月中旬になり今年も境内のザクロが取れました

少ないながらも当寺の「鬼子母神さま」にお供えさせていただきました。

◯そもそも鬼子母神さまってどんな神さま?

◯なんで鬼子母神さまにザクロをお供えするの?

◯ザクロが「人肉」に似ているからお供えするって本当??

今回の記事ではそのような疑問を解決致します。

目次

鬼子母神にザクロをお供えする理由とは?

さて、古来より鬼子母神様には「ザクロ」をお供えいたします。
また、「子安鬼子母神」のお姿はたいてい片手に子供、もう片手にザクロを持っておられます。
当寺の子安さまもそのようなお姿をされております。

それではなぜ、鬼子母神様にはザクロをお供えするのでしょうか。

結論から申しますと

◯『子供の守り神』である鬼子母神さまに「子孫繁栄」をあらわす「ザクロ」をお供えするようになった

このような理由からお供えすると伝えられております。

よくある俗説として有名なのが
ザクロは人肉のような見た目で、味も似ているから子供を食べたくなったら代わりに食べている
というものがあります。

決してそうではありません!

そのことを詳しく知るためには鬼子母神さまがどうして子供を守る神様になったのか、ということを見ていかなくてはなりません。

以下、詳しく見ていきましょう!

A男くん

ザクロは人肉に似ているからお供えするんじゃないの!?

「鬼子母神」とはどのような神様か?

まずは鬼子母神さまについて見ていきましょう。

鬼子母神は、釈尊の時代には訶梨帝母(かりていも/ハーリティー)とよばれ、1000人の子供を持った鬼神でした。
(他にも500人とも10000人とも言われておりますが、日蓮宗では「千子眷属(せんしけんぞく)」とお呼びしますので1000人とさせていただきます)

その子供たちを育てる栄養をつけるために、人間の子の肉を好んで食べ、人々から恐れ、そして憎まれていました。

それを見かねたお釈迦さまは、人々を救うと共に、彼女自身も救済することを意図して、彼女の末っ子を隠してしまいます。

訶梨帝母は鬼神の力を駆使し、わが子を捜しますがついには発見できませんでした。

そんなとき人間界には「お釈迦さま」と言われる方がおり、どんな悩みや苦しみをたちまちのうちに解決してくださるという噂を耳にしてに藁にもすがる思いでお釈迦様の前に「我が子を探してほしい」と泣きつきました。

お釈迦様は

「多くの子を持ちながら一人を失っただけでお前はそれだけ嘆き悲しんでいる。
ならば数人しか持たぬ子を失う親の苦しみはいかほどであろうか。今のお前にはその苦しみが分かるはずだ」

と話し、隠していた子を戻した上で「子を想う気持ちには人間と鬼神に違いは無い」と諭し、自分の行いの過ちを悟らせました。そして訶梨帝母はお釈迦様の教えを受け改心し、鬼子母神として十羅刹女(じゅうらせつにょ)と共に、仏教、特に法華経信仰をする人たちの守護を固く誓いました。

鬼子母神って2種類いる?違いは?

ところで、鬼子母神さまには「鬼形鬼子母神さま」と「子安鬼子母神さま」のお姿があります。

同じ鬼子母神さまですがお姿が異なり、ご利益も異なります。
当寺には鬼形さまも子安さまも安置されています。

「鬼形さま」は怖い顔をなさられ、合掌をしています。
「子安さま」は優しいお顔で子供を抱いてらっしゃいます。
お二神の違いをみていきましょう。

鬼形鬼子母神

長光寺 鬼形鬼子母神

日蓮宗では古来より鬼形鬼子母神を『御祈祷本尊』と崇め、木剣加持を修する事で様々な『御祈祷』を執り行います。

よって鬼形鬼子母神さまは『御祈祷のご本尊』としてお祀りされています。

日蓮宗の御祈祷ができるお寺ではどのお寺でもこの鬼形さまをご本尊としてお祀りしており、その御前で御祈祷をします。

そしてお顔が怖い理由ですがこれは「仏敵や悪鬼・邪気への威嚇のため」そして「どんなことがあろうとも法華経の信仰者を護る!という覚悟のため」このような表情をされている、と私は教わりました。

ちなみに当寺の鬼形鬼子母神さまは先代住職が戦後に身延山で開かれた「日蓮宗大荒行堂」入行の際に新しく作成し、「持仏(荒行中、護っていただく鬼子母神様)」として開眼入魂いたしました。

その後、私イチヨウが平成16年の中山法華経寺での日蓮宗大荒行堂の際に先代に引き続き「持仏」として100日間の厳しい修行の成満できるように護っていただき、無事に成満させていただきました。

子安鬼子母神

長光寺 子安鬼子母神

先述の通り、鬼子母神さまには子供が1000人もおられたとされています

そのことや、お釈迦様の教化を受けた際に「今までの子供の供養の意味も込め、これからは子供の守り神として仕えます」と誓った、とされています。

子安さまは「お釈迦様の教化を受けたあとの鬼神でなくなったお姿」とされています。
ですので、慈悲にあふれる母親のようなお優しい顔をなさっているのですね。

子安さまは「子授け」「子育て」の神様として広く信仰されております。

また「子供の護り神」というご利益から「水子供養の仏さま」としてお祀りしているお寺もあります。

当寺の子安様も「水子供養」の御本尊とさせていただいております。

俗説「ザクロの話」はなぜ生まれたか?

ではなぜ俗説である「ザクロは人肉のような見た目で、味も似ているから子供を食べたくなったら代わりに食べている」は生まれたのでしょうか?

実はお釈迦さまは鬼子母神さまに「もし、再び子供を食べたくなったら、、、このザクロを変わりに食べなさい」とザクロをお渡しになった、とされています。

この話が長い年月をかけて聞伝えで伝わり、いつのまにかザクロの見た目も相まってこのような俗説が生まれたのではないか、と思います。
まさかあのお釈迦さまが
「ザクロが人肉に似ているから、、、味が似ているからこれで我慢しろ!」
とおっしゃるわけありませんよね(笑)

ではなぜお釈迦様は鬼子母神さまに「ザクロを代わりに食べなさい」とお諭ししたのでしょうか。

ザクロの実をみると1つの実の中に又たくさんの小さな実があり、その一つひとつがそれぞれに小さな種を持っています。
そのようなザクロを見せることで「たくさんいる自分の子供、そして殺めた人の子のことを思い出しなさい」とお釈迦様はおっしゃったのです。

そして、ザクロは「皮が非常に厚く、硬い」です。
この厚く硬い皮を見て「母親の子どもに対する『厚い愛情』を思い出しなさい」とお諭しになったのです。

これがお釈迦さまが鬼子母神さまにザクロを与えた本当の理由とされています。

秋には鬼子母神様にザクロをお供えをしてお参りしましょう

鬼子母神さまとザクロの話、いかがだったでしょうか。
鬼子母神さまにザクロをお供えする理由がおわかりいただけたと思います。

近年では栄養価が高く、健康にも美容にもいいとされ注目されているザクロ。
この季節、ザクロを見かけることも多いかもしれません。

そんな季節に鬼子母神さまに思いを馳せ、鬼子母神さまのおられるお寺にザクロを持ってお参りをするのもいいかもしれませんね。

それでは。

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この記事を書いた人

小さな田舎町の小さなお寺
そこで生まれ育ったおしょう『イチヨウ』
「今、この時代だからこそ伝えたいこと
それを自分なりに、自分の言葉で、ていねいに」
そんなことを心がけながら日々の発信を続けていきます。

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